病院と医療機関向けの防犯とは何なのか?何を守るべきなのか?その防犯対策で発生するリスクについて

病院や医療機関は最も安全で、災害時にも避難所として活躍するという部分もあります。しかし安全で安心出来る病院や医療機関には、患者さんや医療従事者の安全を守る為に常にセキュリティシステムが働いており、そのシステムは遠隔であったり又はその医療機関に常時設置していたりと様々であります。

1、病院や医療機関の分類

•総合病院•大学病院
入院設備が100床〜200床あり24時間稼働している。
又、外来と入院病棟と分かれており職員の人数も100名以上でその職種も医師や看護師、検査技師や理学療法士等の専門職も多い。
このような病院には病院と関係無い売店スタッフや駐車場警備又は誘導員もおり、患者以外にも沢山の職員がいることになる。
医師の人数も当然、内科以外にも様々な専門の科があるため多い。

•診療所、クリニック、献血ルーム
入院病床が無い、個人経営している医療機関をいいます。
このようなクリニック等の医療機関は内科や外科以外にも整形外科や眼科、小児科等専門として診察している場合が多い。
医師が1〜3名ぐらいで、看護師数名と医療事務や検査技師数名で対応しており、朝の9時〜18時くらいで稼働している。
検査を看護師が兼務する事も有る為、比較的職員は少ない。
患者も軽症〜中等症の人が多く比較的動ける。
又、献血ルームも看護師が数名おり、こちらも朝の9時〜18時くらいまでの稼働で、献血目的で利用する人が殆どなので
比較的健康な人が多い。

2、医療機関での危険な行為と事故は?

•患者の徘徊や病院からの抜け出し
この患者の徘徊や病院からの抜け出しは、福祉施設の高齢者が多いと言うイメージが強いですが「入院生活に不満がある」「買い物して来たい」「帰宅したい」と
言った理由で脱走する場合があります。
特に多いのが職員が少ない夜間帯であり、看護師も夜勤業務があるため外に探しに行く事が出来ないのが現実です。
又、脱走だけで済むならいいですが、外で転倒事故や交通事故にあえば「病院側の観察不足!!」ということに繋がる可能性が高くなってしまいます。
現在、コロナ渦でホテル療養の指示が出ている患者が「買い物したいから」と言った理由で脱走してしまったというニュースを聞いたことがあります。
このように勝手に外出し感染を広げてしまう行為自体も、患者さんの責任にはなりますが「見守りしていなかったのか?」と言うことでホテルにいた職員や警備員
又は医療スタッフの責任になる場合があります。

•不審者、モンスターペアレント
待ち時間が長くて看護師に暴力を振るった患者さんもよくいます。
病院は患者さんが沢山いて当然です。待ち時間も当然長くなってしまいます。
その待ち時間の長い事で、看護師や医療事務等が暴言や暴力を受ける場合が多いです。「待ち時間長いから無料診察しろ!」「俺は昔、偉い役職にいたから早くしろ!」
と言った言動で脅迫してくる患者さんを見た事があります。
又、病院に特に用事が無いのに入ってくる不審者もあります。
多くの病院はサス又等の防犯対策グッズ等を設置している場合があります。

•カルテや個人情報が盗まれる
現在カルテ自体が電子カルテとなっている病院が多いですが、手書きのカルテを使っている病院もあります。
手書きのカルテは盗まれやすく、個人情報も簡単に盗まれてしまいます。
その為に電子カルテとなって、医師や看護師の業務もスムーズになったのです。
しかしネット世界になったこの世の中。
簡単にネットを使って病院から個人情報を盗むことが出来るのです。
多くの病院はその為に、セキュリティシステムを使っています。

•患者との喧嘩や問題
患者同士での問題行動は稀に見られて喧嘩や物取り等、あります。
特に精神病院等の向精神薬を内服している患者さんからの暴力はとても病的と言え、看護師や医師も「患者に殺される」と言う危機を感じた人が多いと聞きます。
精神病の患者は幻覚や幻聴等の症状で躁鬱状態を繰り返すと言われています。薬の効果よっては不機嫌になって大暴れする場合もあると言うことです。

•火災や事件、事故
火災に関しては、多くの医療機関は消防署と連携が取れておりスプリンクラーを設置されている事が殆どです。
しかし事件や事故は突然起こるのです。
車が病院に突っ込んだニュースや患者や医師を無差別に襲撃するニュースが日本でもありましたが、このような場合、大きな病院には警備員が常勤してますが
クリニック等の小さな病院だといる職員で身の安全を守る事になります。

3、病院、医療機関向けの防犯とは?

•防犯カメラの設置
病院や医療機関には必ず防犯カメラが設置されている場所があります。
まず玄関と非常口等の外に出れる場所には必ず防犯カメラが設置されています。
何故設置されているのか?
それは患者自身の安全を守る事が目的とされている事が多いですが、不審者等の犯罪に繋がらないように職員の安全を守る事も必要で設置されています。
又、犯罪や事故が起きた後にこの防犯カメラが証拠となります。
防犯カメラの設置場所は玄関や非常口以外にも、エレベーターや病棟の廊下やナースステーションにも設置されている事が多いです。

•警備会社の利用
大きな病院には警備員が配置されている事が多いです。
大きな病院には患者さんが多くいます。
人が多いとなれば何かしらトラブルが起こりやすいものです。
特に患者同士や職員が患者さんに暴力をふるわれることはよくあります。
トラブル予防、又は悪化させない為に警備員が活躍するのです。
又、病院の玄関に軽微会社のステッカーを貼っている場合は既にその病院はその警備会社に警備や防犯業務を委託している事になり、日中以外にも夜間の防犯業務を
する事になります。
特に夜間は鍵が掛かっている自動ドアを空けて防犯システム稼働中に部外者が入る、又は出て行く患者さんがいます。
夜間帯は病院は職員が夜勤専従なので防犯まで手が回らず、又夜間と言う事もあり「怖い」「不安」と言う職員が多いです。
その為の警備会社となり、最近では防犯システムを無理に解除してまうとブザーが鳴り自動的に警備会社に連絡が行き警備員が駆け付けるシステムになっています。
防犯システムの解除方法は病院の職員は警備会社から指導されており、ブザーが鳴らないように又は警備会社に連絡が行かないように指導を受けます。
私自身が個人病院で玄関を開ける際に防犯システムを1度解除してからカードキーを入れて、誤作動が起こらないようにしてからの防犯システムを再稼働させると言うことをしていた時期が
あります。
もし誤作動を起こすと、SECOMの警備員が来て安否確認をされていました。
ちなみに警備員が駆け付ける事でお金が発生してしまうので誤作動は要注意です。

•ネットのセキュリティ強化
電子カルテや職員名簿は病院内のパソコンに入っています。
きちんとした管理が必要で、当然病因外に情報を持ち出す事は禁止されています。
しかし職員が持ち出しをしなくても、外部から情報を盗もうとする人はいます。
ハッカーと言ってもよいのでしょうか。
その為に、ネットのセキュリティを強化する事がとても重要になって来ます。

•職員一人一人の防犯研修の受講
病院内の職員は一人一人防犯研修を受講している事が多く、看護師の私自身もサス又の使用方法の研修を受けた事があります。
不審者に2〜3名の職員がサス又で対抗して、他の職員は患者を安全に避難させて警察や警備会社に連絡すると言った流れを既にマニュアル化されています。
しかしマニュアル化されていても、実際に私が勤務した老人ホームの玄関で問題がある入居者の家族が面会で来てナイフを振り回した事件があり、怖くて患者の避難誘導で
いっぱいいっぱいだったことがあります。
不審者に対抗しても良いですが、1番は患者さんと職員の安全を優先すべきだと私は感じています。

4、病院が防犯対策をする事で起こるリスク

•コスト面に問題が起こる
防犯カメラや警備会社を使うにしても、お金がかかるのは当然です。
しかし、防犯業務を病院の職員がすることは困難なのです。
お金がかかるにしても患者や職員の安全を守る為には必要な事だと思います。

•職員が怪我をする場合も!!
病院の防犯と言えば、「患者さんの安全」「患者さんを守る」ということが頭に浮かびます。
確かに患者さんの安全が優先になり職員は患者さんを守る事は良い事だと思います。
しかし、患者さん同士の喧嘩やトラブルで間に入って怪我をしたと言うケースは良く聞かれます。
「パンチされて鼻の骨を折ってしまった」「脚でお腹を蹴られ妊娠中で流産してしまった」と言った看護師さんもいます。
そうなってしまうと「労災」となりますが、怪我をすればしばらく業務が出来なくなってしまう可能性が高くなります。
職員の安全も守られるべきで、患者さん優先ではないと思われます。

•夜間はどうしても職員が手薄になる事は変わらず
病院は夜間は宿直医師2名と夜勤看護師が各病棟に2名ずつ配置されています。
日中と比べれば当然職員は少なく、患者の見守りも日中と比べて難しくなって来ます。
もしその夜間帯に、何か防犯上でトラブルが起きた場合は夜勤の職員は患者さんの対応が優先となってしまうので不審者が入って来ても患者さんが1人病院から抜け出してしまっても
夜勤の職員は抜け出した患者さんを探すことも出来ず、不審者の対応も難しくなってしまうのです。
その為に、警備会社の遠隔システムや防犯カメラがとても重要な役割をするのです。